アメリカ社会の成立基盤
アメリカ社会の非情さ
以前、まだ私が若い頃米国のテキサス州ヒューストンで米国リウマチ学会が開催され参加しました。
ヒューストンは全米第4の大都市でありますが、面積が広く建物が密着していないため、大都市という感じはありません。
紫外線は滅法強く、日本で使用している伊達サングラスは全く役に立ちません。
真っ黒な映画でギャングがしているようなサングラスが必要です。
私達はブッシュ大統領がヒューストンに帰郷した時に滞在するWestin Hotelの前にあるホテルに宿泊しました。
MDアンダーソンホスピタル(がんセンター病院)訪問
ヒューストン到着の翌日I先生を訪ねて世界最大規模とも言われるがん専門病院のMDアンダーソンホスピタルに行き、内部を見学させていただきました。

MDアンダーソン病院

MDアンダーソン病院
画像:インターネットより引用
まず驚いたのは窓ガラス、床など病院内部が反射して見えるくらいピカピカに磨かれていることでした。
ベトナム難民の過酷な作業
綺麗な病院は素晴らしいのですが、私たちはベトナム難民の方がその清掃業務を行っているところをこの目で見て、何と過酷な作業を強いているのだろうという驚きにも似た気持ちを抱きました。
米国人のリーダーの指示のもと、徹底的に一日中清掃作業に従事しているようです。
そして、驚いたことに1人当たりの日当はわずか5ドルということでした。
寝泊まりしているところは確保されているのですが、生活費に困るだろうなというのが実感でした。
大きなメロン1個が50セントで売られていたので、全く食べ物が買えないわけではないと思いましたが、最低の賃金で物凄い労働を課せられているなと思いました。
米国社会の非情な一面を目の当たりにしました。
病院施設は本当に素晴らしい
病院内の設備、機器類、施設は本当に素晴らしいものでした。
日本ではその当時電子カルテも全く普及していない時代でしたが、患者さんと横に並びながらパソコンで治療経過について患者さんとお互い議論しながら説明しているとのことでした。
小児がん患者の施設として病院内に幼稚園や小学校が設置されていることも驚きでした。
貧富差が激しい米国
米国社会の貧富差は日本と比べ物にならないくらい大きいようです。
このMDアンダーソンがんセンター病院で治療を受けるにはかなり高額な医療費がかかることが設備や施設が極めて高度なことからたやすく推測できます。
おそらく一部富裕層の人達だけしか治療を受けたり、入院したりすることは出来ないと思われました。
アラブの富裕層・王室の患者さんは病院前のホテルで滞在
アラブの富裕層や王室から治療を受けに来ている患者さんは病院に入院しないで、病院前にあるホテルで滞在していると伺いました。
全て金がらみです。
日本でもその傾向はありますが、貧富差による病院選択は米国の方が厳しいように思えました。
アメリカ社会ではベトナム難民だけでなく、ホテル、レストランで働いている従業員も厳しい生活を強いられています。
彼らは客からもらったチップで生活しています。
したがって、チップをどれだけ貰えるかは彼らにとって死活問題なわけです。
勿論賃金が安い所も多いですが、日本のように必ず固定給的なものが確保されている社会と違い、本当に弱肉強食の世界であることを認識していないと米国社会では生きて行くことが出来ないと痛感しました。
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