【漢方の力】桔梗湯・北京念慈菴とは?【枇杷潤喉飴・喉の腫れ痛み】

念慈菴 健康
念慈菴

喉の腫れ・痛みへの薬

漢方薬 桔梗湯

5/3のアメブロにアップした記事で歌手の水森かおりさんがご自身の健活法として夕刊フジの健康新聞vol.20(2021年4月13日発行)に寄稿された内容紹介を行いましたが、その中で歌手の生命線とも言える日常の喉の健康管理法についても書かれていました。

【水森かおりさん】食事法・睡眠・喉の管理は歌手の命【健康の秘訣】← こちら

喉の健康管理法について詳しく紹介しませんでしたので、本記事で少し詳しく述べたいと思います。

(夕刊フジ健康新聞vol.20より引用)

桔梗(キキョウ:Platycodon grandiflorum)

秋の七草の一つで日本人にはなじみの深い野草ですが、観賞用に庭先で栽培されることも多いです。

古くはキキョウを「あさがほ」と呼んでいました。

万葉集で有名な歌人「山上憶良」が秋の七草を詠んだ歌があります。

「秋の野に咲きたる花を指折りてかき数ふれば七種(ななくさ)の花」

「萩が花尾花葛花(くずはな)なでしこの花おみなへしまた藤袴(ふじばかま)朝顔(あさごほ)の花

最初の歌は五七五七七と普通の歌となっていますが、2首目は五七七五七七のリズムとなっていて、旋頭歌と呼ばれています。

古代では中国の価値観で優れたものを選ぶ際に七を使うことが多く(例えば七賢人)、七草としたのはそれが山上憶良の頭にあったのではないかと思われます。

桔梗湯(キキョウ+カンゾウ)

キキョウの根はサポニン(オレアナン型トリテルペンサポニン)を多く含むことから生薬として利用されています。

日本薬局方では桔梗根でキキョウPlatycodi Radixといいます。

鎮咳、去痰、排膿作用があるとされていて、代表的な漢方処方に桔梗湯(キキョウ+カンゾウ)があります。

次の化合物がキキョウサポニンの主成分のプラチコジン(Platycodin)です。

桔梗湯に入っているカンゾウ(甘草)も有名な生薬で成分にグリチルリチン(glycyrrhizin)を含み鎮痛、鎮咳、去痰作用を有していて、消化性潰瘍薬としても用いられます。

漢方では緩下、鎮痛、解毒などを目的に痙攣痛、腹痛、筋肉痛、咽喉痛などに広く用います。

カンゾウの成分のグリチルリチンは尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため血清カリウム値の低下が促進され、偽アルドステロン症(低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫など)やミオパチー(低カリウム血症の結果として脱力感、四肢痙攣、麻痺など)が現れやすくなるため、長期使用の際は注意し、医師、薬剤師と相談することが必要です。

念慈菴(ねんじあん)

もう一つ水森かおりさん紹介の喉のお薬、念慈菴(ねんじあん)は台湾では一家に一瓶、香港歌謡界ではスター御用達のお薬で、お土産用にのど飴もあります。

念慈菴の成分は、枇杷葉(ビワヨウ)、陳皮(チンピ)、百合(ユリ)、杏仁(アンニン)、菊花(キッカ)、甘草(カンゾウ)、茯苓(ブクリョウ)、麦冬(バクトウ)、桔梗(キキョウ)、乾姜(カンキョウ)、蜂蜜(ハチミツ)など天然植物をたくさん配合しています。

  • 枇杷葉:消炎、鎮吐、排膿
  • 陳皮:健胃、利尿、鎮咳、去痰
  • 百合:鎮咳、鎮静、滋養、強壮、利尿
  • 杏仁:鎮咳、去痰
  • 菊花:降圧、消炎、利尿、下熱、目の充血
  • 甘草:緩下、鎮痛、解毒、咽喉痛
  • 茯苓:利尿、健胃、めまい、精神安定
  • 麦冬:強壮、鎮咳、去痰、鎮静
  • 桔梗:強壮、排膿、去痰
  • 乾姜:解熱、鎮痛、鎮咳、抗炎症

配合成分は多彩な作用を持っています。

念慈菴ストーリー

中国の清の時代に母親思いの青年楊孝廉がいました。

彼の母親が長く病を患っていて、名医でも治りませんでした。

彼は医術が優れているという葉天士という名前を耳にし、はるばるこの名医を訪れますが、この名医は苦労が重なり自ら病気になってしまったため、彼に先祖代々の秘法を伝えます。

この秘法の薬を口にした青年の母親の病気はついに治りました。

その後青年は、84歳で亡くなった母念慈菴と名医葉天士を記念して、念慈菴という名の薬を持って布施したというストーリーです。

この薬の名称「京都念慈菴」の京都は北京の意味で、この青年が亡くなった後もこの薬を求める人は増え、ある人が北京にお店を作ったことからこの名がついたとのことです。

1946年香港に「京都念慈菴」として会社を立ち上げ、16年後台湾に進出し、今や台湾人なら誰もが知っている大会社となりました。

花梨(かりん)のど飴

水森かおりさんは歌を歌う前に「花梨(かりん)のど飴」をお湯に溶かして飲むと話しておられます。

日本には平安時代に中国から伝わったとされる花梨、中国では2000年位前から薬用植物として用いられていました。

血行促進、殺菌、免疫力アップ、抗炎症、抗酸化、血圧降下、鎮咳、咽喉痛など多彩な作用を有しています。

以上述べて来たお薬は歌手の水森かおりさんは勿論ですが、一般人も時々使用すると良いお薬かも知れません。

ただし、漢方薬もお薬ですのでこの記事でも述べましたが副作用もあります。

長期間漫然と用いるべきでなく、必要に応じ使用すべきです。

参考文献:生薬単 語源から覚える植物学・生薬学名単語集 伊藤美千穂・北山隆監修 原島広至著 丸善雄松堂

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