新型コロナウイルス感染拡大防止策として安倍首相の緊急事態宣言が発出されたのは4月7日(火)で実施期間は4月8日(水)から5月6日(水)までとされました。
もうすぐ連休(5月6日まで)が明けますが、新たな感染者数は減少傾向に転じているものの、医療提供体制は厳しい状況が続いていることから、政府は5月4日(月)に対象地域を全国としたまま、5月31日(日)まで緊急事態宣言の期間延長の方針を決定しました。
引用:NHK NEWS WEB 2020.5.3 18:48より
これとは別に東京都の小池知事は3月25日、都庁で緊急会見し、不要不急の外出自粛を要請しました。
緊急事態宣言および外出自粛要請が出されてからコロナウイルス感染の動向がどうなったか、国民一人ひとりの最大かつ喫緊の関心事だと思います。
緊急事態宣言にともなう外出自粛によりどのような効果が表れたのかを評価する際の指標として:
- 1日当たりの 新規感染者数
- 感染症の流行時に感染者1人から平均何人にうつるかを示す「実効再生産数」の値
の2つが重要となります。
特に着目したのは実効再生産数の値で、実効再生産数が「1」を上回れば感染が拡大し、下回れば感染縮小に向かうので、欧米では感染拡大防止策としての自粛による行動制限を緩和する際の目安にしています。
5/1(金)の専門家会議の提言によると
- 全国の実効再生産数は緊急事態宣言前の3/25は「2」でした。
- 宣言後の4/10には「0.7」に低下しました。
- 東京都は感染者が増加し始めた3/14に欧米の流行時並みの「2.6」であった。
- 3/25の都の外出自粛要請後新規感染者数の伸びが鈍化し、4/10には「0.5」に一気に下がった。
実効再生産数に対して、通常の環境下で感染者1人から平均何人にうつるかの指標が基本再生産数で、ウイルスそのものの感染力を表しています。
WHO(世界保健機関)によると新型コロナウイルスは 暫定値で1.4~2.5 としています。
引用:産経新聞2020.5.1 20:53より
それでは、2020.5.1の新型コロナウイルス感染症対策専門会議での新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言について詳しく次に示していきます。
この「はじめに」で国民一人ひとりの緊急事態宣言に伴う外出自粛、事業自粛の協力への謝意を伝えています。
現時点でオーバーシュート、つまり感染の爆発的拡大を免れて、新規感染者数が減少傾向に転じるという一定の成果があったことを報告しています。
さらに次の2点を強調しています。
- 引き続き徹底した行動変容による接触機会の低減、重症者・死亡者の増加を防ぐための医療提供体制の拡充を進めることが必要。
- この感染症への対応は、長丁場の覚悟が必要。
図をみて明らかなように、東京都、全国ともに4月10日くらいを境に感染者数(陽性者数)は増加から減少に転じています。
実効再生産数も3月時点で東京都では2.6でしたが4月10日では0.5に減少、全国でも3月時点で2.0でしたが、4月10日には0.7と減少しています。
全国で東京より感染者数、実効再選者数の減少率が少ないことについては、大都市圏からの人の移動により地方に感染が拡大したことを理由にあげています。
さらにPCR検査が限定している中で、なぜ感染が減少していると言えるのかについても触れています。
あわせて医療提供体制への影響についても報告しています。
PCR検査はこれまで日本では諸外国に比べ少なく、感染者の全てが把握できているわけではない。
しかし最近徐々にではあるがPCR検査件数が増加している中で、感染者数(陽性者数)が全国的に減少傾向にあること、東京などで倍加時間が延びていることから、新規感染者が減少傾向にあることは間違いないと判断しています。
医療機関では、新規感染者数が減少傾向にあり、軽症者の隔離場所が確保されつつあることはプラス要因ですが、重症者など入院患者数がなかなか減少しないので、負担はしばらく継続する状況であることが報告されています。
政府の緊急事態宣言延長とも関連しますが、上の図に示したような提言をしています。
- 国内における感染状況に応じて、持続的な対策が必要。
- 地域で感染が再燃すると、医療提供体制への更なる負担となるので、当面これまでの枠組みは維持することが望ましい。その理由:収束のスピードが期待されたほどでない、医療提供体制が十分に整備できていない地域がある、知事のリーダーシップがこれからも必要の3点を挙げています。一方、感染状況が地域で異なるので、地域の状況に応じた対応が必要。
- 感染拡大を収束に向かわせるためには市民の持続可能な努力を求めることが必要。しかし、特に社会的に必要性が高い活動で、なおかつさまざまな工夫により感染リスクを十分に下げられる事業などは制限を一部徐々に緩和する検討も必要。一例として学校や公園等の取扱いについて検討が必要。
- 徹底した行動変容の要請を維持するか、緩和するかの判断の考慮すべき要素:感染が一定範囲に抑えられていること、医療提供体制が確保できていること。
- 徹底した行動制限を緩和した地域で今後求められる対応:新規感染者数が限定的になった地域でも再度のまん延が生じないようにするため、長丁場の対応を前提とした「新しい行動変容の要請」の定着が必要。再度まん延が生じた時には、「徹底した行動変容の要請」を講じざるを得ないことを予め覚悟しておくことが必要。
- さらに、クラスター対策、医療提供体制の拡充に向けた提言。
引用:厚生労働省ホームページより
コメント